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腹水炎とは?腹膜の炎症が関係する腹膜炎と滲出性腹水とは?

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腹水炎という言葉を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。

しかし、こういう病名はありません。

また、腹膜の炎症で腹水が蓄積されるものとされないものがあります。

そこで、腹水炎という病名についてと腹膜の炎症である腹膜炎と腹水の関係、腹腔内で炎症が起こる腹膜炎である滲出性腹水とその治療方法について紹介します。

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また、簡単には治療できない難治性腹水というものについても紹介します。

腹水炎という病名

存在しない
「腹水炎」という言葉を聞いたことがある方や「腹水炎」と診断されたという方もいると思います。

しかし、腹水炎という病名は存在しないんです。

そもそも腹水とは、医学的な症状もしくは病態のことです。

腹腔内に液体が過剰に蓄積している状態、もしくはその液体のことを腹水と言います。

この腹水が炎症を起こすことはないので、「腹水炎」という病名は存在しないのです。

腹水炎って?
炎症性の腹水症状や血性の腹水症状を伴う病気
のことを腹水炎って呼ぶことがあるのです。

炎症性の腹水は「滲出性腹水」と呼ばれ、悪性腫瘍(肝細胞癌、癌性腹膜炎)や子宮外妊娠破裂、結核性腹膜炎などは「血性腹水」と呼ばれ、これらを腹水炎と呼ぶことがあるのです。

他に肝硬変、鬱血性心疾患、ネフローゼ症候群、乳び性悪性腫瘍、フィラリア症、外傷など「漏出性腹水」といい、中皮腫、腹膜偽粘液腫、胃・大腸膠様腺などを「粘液性腹水」といいます。

これらは炎症ではありませんが、腹水を伴う病気で「腹水炎」ということがある症状です。

腹水と腹膜炎の関係

腹膜炎
腹水が腹膜炎によって腹腔内に蓄積されることがあります。

腹膜炎とは、字の通りで腹膜の炎症のことを言います。

炎症によって体液だけではなく、細胞質に含まれる液などが流出し、腹腔に蓄積されて腹水になることがあります。

単体で発症することは基本なく、
他の病気から併発して発生します。

原因
主なものは細菌によるもので、何かしらの細菌感染症から派生することが多いです。

細菌による腹膜の炎症で壁が薄くなり、色々な臓器や細胞から液が漏れ出して腹水が蓄積されます。

腹膜炎には急性と慢性があって、
腹水がみられるのは主に慢性の腹膜炎においてです。

急性腹膜炎
急性腹膜炎の場合、突然、お腹が痛みだし、次第に痛む範囲が拡大していきます。

痛くてお腹を抑えていた手を急に離した時、抑えていて周辺に痛みが響いたり、硬化するような症状がみられます。

ほかにも発熱や悪寒、嘔吐、頻脈等が起こります。

悪化してくると意識を失ったり、場合によっては死に至ることもある恐ろしい病気です。急激に症状が出るので、
腹水が蓄積されることはほとんどありません。

慢性腹膜炎
慢性腹膜炎の場合、急性腹膜炎と似たような症状が急激にでなく緩やかに進行します。

そのため、あまり自覚症状がなく、放置してしまうこともあり、結果としていつの間にかお腹が膨張することもあります。

お腹が膨張しているのは、腹水が蓄積されたからです。


滲出性腹水と治療方法

滲出性腹水
滲出性腹水(しんしゅつせいふくすい)とは、炎症性の腹水のことで、細菌の感染をはじめ多くの病気などにより
腹腔内で炎症が起こる腹膜炎のことです。

細胞成分や線維成分が腹腔内に滲出(液体が外ににじみ出る)します。

腹水は体液や水分がそのまま流出したものが主なものなのですが、滲出性腹水の場合、細胞成分や線維成分の比重が高いので、腹水治療ではじめにおこなう利尿剤で体内の腹水を減らす治療の効果が低くなる傾向にあります。

起きる病気
滲出性腹水は実に様々な病気によって起こります。

主なものは細菌の感染による腹膜炎や癌性腹膜炎、結核性腹膜炎、化膿性腹膜炎、子宮外妊娠、肝細胞癌の破裂、腹部大動脈破裂、悪性リンパ腫、悪性腫瘍の転移、膵ガン、門脈血栓、腹部外傷、急性胆嚢炎、悪性中皮腫、卵巣嚢腫などです。

治療
滲出性腹水の治療ですが、腹水治療ではじめにおこなう利尿剤を使って、体内の腹水を尿として出してしまい、腹水を減らす効果が薄いです。

そのため、腹腔穿刺によって腹水をコントロールせざるを得ないことが多いです。

腹腔穿刺とは、お腹の腹壁を皮膚から腹腔内まで針で貫くものです。

何よりも滲出性腹水がみられる方は止血機能が相当低下している場合が多いのです。

そのため、腹壁や腸管の血管が太くなっていることが多く、肝臓が正常な方に比べ、出血や感染の可能性が高いのです。

しかもこの方法は
根本的な治療ではないため、数日で腹水が蓄積されることが多いです。

腹水には高濃度のタンパク質や電解質が含まれているため、排出してしまうことで栄養が不足し、全身状態を悪化させることもあります。

これを改善させるため、腹水ろ過濃縮再静注法というものが開発され、最近では使用されるようになりました。

この方法だと、細菌など細胞成分と余分な腹水を取り出し、それを濾過および濃縮して、静脈から再注入するので、栄養不足を回避でき全身状態の悪化を防ぐことができます。

難治性腹水とは

難治性腹水
難治性腹水とは、主に癌によって起こる腹水
のことで、症状が重症であって、かつ治療が非常に困難な状態のものです。

腹水が蓄積されてしまうということは、その原因となる病気の症状がかなり重症の場合がほとんどです。

病気自体の治療が難しい状況で、さらに腹水が蓄積されることで腹部膨満感や呼吸困難などの重症な症状に対しての治療が必要になってきます。

しかし、簡単には治療できませんし、一度の治療では回復しない腹水のことを難治性腹水と言います。

起きる病気
難治性腹水が起きる主な病気は癌性腹膜炎や胃癌、肝細胞癌、胆嚢癌、大腸癌などの癌です。

これらの病気は、単に腹水が蓄積されてしまうというだけではなく、その腹水に癌細胞や細菌などの細胞成分が含まれているので、大変危険な状態なのです。

腹水から癌が転移したり、他の病気を併発することもあります。

治療
難治性腹水の治療ですが、腹水を除去するだけではなく、腹水に癌細胞や細菌などの細胞成分が含まれているため、腹水の中の癌細胞や細菌などを濾過したりの対処が必要となります。

滲出性腹水の治療同様、腹水ろ過濃縮再静注法が使用されることが多いです。

しかし、腹水が蓄積されるということは、病気の症状が重症化しているということです。

その病気を治さない限り、腹水が蓄積させることを防ぐことはできないのです。

難治性腹水の場合、原因となっている病気そのものが不治な場合が多いのです。

病気が不治ということは難治性腹水も不治ということになります。

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