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腹水の検査の方法と考えられる病気とは?腹水治療の方法は?

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腹水は生理的に微量は必要なもので、腹腔内に存在する液体成分ではあります。

しかし、異常に腹水が蓄積されるのは何かしらの病気であったり、体に異常があるサインでもあります。

異常に腹水が蓄積されているのかどうかは検査することでわかります。

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そこで、腹水の検査の方法にはどのようなものがあり、考えられる病気とは一体どういう病気なのかについて紹介します。

また、腹水が異常に蓄積している場合の治療の方法であるアルブミンの補給、利尿剤、腹水穿刺についても紹介します。

腹水の検査の方法

異常な腹水
腹水は微量は必要なものですが、腹腔内に異常に蓄積されている場合、何かしらの病気である可能性があります。

腹水は、腹部の膨張や腹部超音波検査、腹部CT検査などを受けた際に異常な量の腹水が発見されることがあります。

このような場合、腹水を採取し、原因や状態を調べることになります。

腹水は血流が滞ったり、血管の内圧が高くなったり、血液中のタンパク成分が低下したりすると異常な量が蓄積されます。

また、腹腔内に炎症が起きていたり腫瘍がある場合でも異常な量が蓄積されます。

異常な量が蓄積されている状態を腹水貯留(ふくすいちょりゅう)と言います。

検査方法
腹水の検査方法は、採血に使われるような針の付いた注射器で腹腔内の腹水を採取し、調べます。

採取の方法は、
腹水を安全に採取できる場所は左下腹部
なので、腹水ができるだけ左下腹部に集まるように、患者さんには仰向けからやや左を向いてもらいます。

局所麻酔をして、針を刺して採取します。

この時、腹水が多いと針を刺した場所から腹水が漏れることがあります。

このような場合には、ガーゼ等でしばらく圧迫する必要があります。

考えられる病気
腹水には主に2つの種類があります。

ひとつは混濁して粘り気があり、タンパク含有の高いもので、もうひとつはタンパク含有の低いものがあります。

タンパク含有の高い場合、
急性膵炎や腹膜炎などの炎症
によって腹水が異常に蓄積されていると考えられます。

タンパク含有の低い場合、
肝硬変やネフローゼ症候群、吸収不良症候群などが疑われます。

ほかにもうっ血性心不全、胆嚢炎、悪性の腫瘍(癌)などによっても異常な量の腹水が蓄積されることがあります。

腹水の治療の方法

治療方法
腹水の治療の方法は全て対処療法となります。

まずはアルブミン製剤を内服または点滴で補給がおこなわれ、次に利尿剤による治療がおこなわれます。

効果がみられない場合、腹水穿刺(ふくすいせんし)という腹腔内にカテーテルを挿入し、腹水を体外へ排出する治療がおこなわれます。

アルブミンの低下
腹水は肝硬変や肝炎、ネフローゼ症候群、悪性の腫瘍(癌)などにより、肝機能が低下してしまうので、本来肝臓で合成されるアルブミンの合成能力が低下してしまいます。

アルブミンは、血液中を流れるタンパク質の約50~65%を占めていて、私たちが体を動かすのにはとても重要な物質なのです。

この物質の合成能力が低下することで、血液中の濃度が減少します。

そうなると血管の浸透圧が低下してしまうので、水分を血管内に吸収出来なくなり、吸収できなくなった水分が腹腔内に蓄積されるという訳です。

なので、まずはアルブミンの合成能力を回復させるために
アルブミン製剤を内服または点滴で補給します。

次に利尿剤によって水分を排出して、腹水を減らす方法がおこなわれます。

利尿剤の使用で効果がみられない場合におこなわれる腹水穿刺は、即効性はあるのですが、大量の腹水排液は
低血圧、腎不全などを他の症状を誘発する可能性がある
ため、腹水穿刺による排液の量には注意が必要となります。


腹水治療の基本は利尿剤

腹水治療の基本
腹水治療はまずアルブミン製剤を内服または点滴で補給がおこなわれ、次に利尿剤による治療がおこなわれます。

腹水治療の基本は、体内の異常な量の腹水を利尿剤を使用して尿として強制的に排出し、腹水を減らすことです。

尿を多く排出させることによって、身体の中に滞留する水分が減ります。

そうなると細胞が自動的に最適な状態を保とうとしてくれるので、周囲から水分を吸収し始めます。

この結果として腹腔内に異常に蓄積された腹水が減ってくれるのです。

利尿剤による治療は、ほかの治療法をおこなう場合でも併用される基本的な腹水治療と言えます。

利尿剤とは
尿の量を増やす作用がある薬の総称です。

尿は水分や電解質を体外へ排出するのは、最も効率的な方法です。

尿は腎臓でつくられ、体内の状況に応じて尿の量や濃度を調節し、全身の体液を一定に保つようしてくれています。

病気などにより、この調節が正しく機能しない場合、
利尿剤が水分を体外に排出するために使われるという訳です。

利尿剤の有効性
利尿剤の使用は、腹水治療の基本ですが
即効性があるわけではありません。

利尿剤が有効なのは、数ヶ月、数年単位で腹水を減少させる場合です。

差し迫った危険がある場合や
腹水の原因となっている病気が完治していなければ有効ではありません。

また、癌性の腹水に対して利尿剤の有効性は十分に証明されていないのです。

残念ながら、現状では利尿剤のほかに有効な薬がないため、利尿剤が腹水治療の基本となっています。

癌性の腹水に対してはスピロノラクトンという利尿剤が使われることが多いのですが、重大な副作用として電解質異常、急性腎不全があるので、使用には十分な注意が必要です。

腹水治療の腹水穿刺のリスク

腹水穿刺の安全性
腹水治療でアルブミン製剤を内服または点滴で補給がおこなわれ、利尿剤による治療で効果がみられない場合、腹水穿刺(ふくすいせんし)という腹水を体外へ排出する治療がおこなわれます。

以前は、腹水は出来るだけ抜かない方が良いと言われ続けていました。

しかし最近では、米国を中心に利尿剤と腹水穿刺による大規模比較試験がおこなわれ、
腹水穿刺での治療を最初からおこなう方が、利尿剤を使用するよりも安全であって、かつ確実に腹水による症状を楽に出来るという結果が出ています。

しかもできるだけ抜かずに我慢した場合よりも苦しくなる前に腹水穿刺で腹水を抜いた方が、長生き出来ているという結果も出ていると言われています。

腹水穿刺のリスク
とは言っても腹水穿刺にはリスクも存在します。

腹水穿刺は腹壁を皮膚から腹腔内まで針で貫くことになるので、
感染の可能性は少ないですが無いとは言えません。

腹水が異常に蓄積される方は肝硬変の患者さんい多いのですが、肝硬変の患者さんは止血機能が相当低下している場合が多いため、出血した場合のリスクは高くなります。

しかし、現在では腹水穿刺によるリスクを少しでも下げるために、穿刺の際はお腹の中でもなるべく太い血管がないと思われる場所を選び、腹腔内の臓器を傷つけないように事前に超音波で確認をしておこないます。

それでもリスクがゼロになるわけではありません。

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