どうして、焦りは突然やってくるんだろう
夕方、いつもの時間にキッチンに立っていました。
フライパンを火にかけて、子どもの宿題を横目で見て、
冷蔵庫の中身を思い出しながら献立を組み立てる。
夕方のキッチンで、ふと止まった手
そのとき、スマホが鳴りました。
派遣先からの連絡でも、学校からでもなく、
ただのニュース通知でした。
「40代からでもキャリアはやり直せる」
そんな見出しが目に入りました。
フライパンを持ったまま、
私は少しだけ手を止めました。
焦げる音がして、
慌てて火を弱めて、
また動き出す。
でも、心だけは、
その場に置き去りになった気がしました。
理由は分からないのに、胸がざわつく
その記事をちゃんと読んだわけではありません。
でも、「40代」「このままでいいのか」
その言葉だけが、ずっと残りました。
今の仕事。
派遣社員として、決められた時間働いて、
決められた業務をこなして、帰る。
特別不満があるわけじゃない。
大きなトラブルもない。
それなのに、
胸の奥に、じわっと広がる焦り。
このまま何年も、
同じ生活が続く気がして、
息が少し詰まる。
誰かと比べたわけでもないのに、
なぜか置いていかれている感覚だけが残ります。
「私って、何をやってきたんだろう」
頭の中で、いつもの声が始まります。
「もっとちゃんと考えるべきだったんじゃない?」
「若いころ、何してたの?」
「何も成し遂げてないじゃない」
子どもは大切。
家族の時間も後悔していない。
それでも、
自分の人生だけを見ると、
何も残っていない気がしてしまう。
履歴書に書けることも少なくて、
誇れる肩書きもなくて、
ただ年齢だけが増えていく。
「このままでいいわけないよね」
そんな言葉が、
自分に向かって突き刺さります。
これは、本当に性格の問題なんだろうか
しばらくして、
少しだけ考えました。
この焦りは、
私が怠けているから?
努力が足りないから?
でも、
毎日ちゃんと起きて、
働いて、
家のことも回している。
決して、何もしていないわけじゃない。
それなのに、
こんな気持ちになるのは、
本当に私の性格のせいなんだろうか。
この焦りは「性格」じゃなく「反応」

たぶん、この焦りは、
性格の問題ではありません。
40代という年齢。
非正規という立場。
子どもの成長と、将来のお金。
いろんな条件が重なった場所で、
心が出している反応。
この感情は、
「もっと頑張れ」という命令じゃなくて、
「今、少し負荷がかかってるよ」というサイン。
警告音のようなものかもしれません。
消さなきゃいけないものではなく、
「鳴っているな」と気づくだけでいい。
今日できる、ほんの小さなこと
私がやっているのは、
本当に小さなことです。
・「このままでいいのか」と思ったら、
「今、不安なんだな」と言い換える
・答えを出そうとしないで、その日は寝る
・将来のことは、夜に考えない
人生が変わるようなことは、
何もしていません。
ただ、
焦りに引きずられて走り出さないように、
立ち止まるだけです。
焦りは消えない。でも、距離は取れる
正直に言うと、
この焦りは、今もあります。
ふとした瞬間に、
また顔を出します。
でも、前よりも、
少しだけ距離ができました。
飲み込まれる前に、
「あ、来たな」と気づける。
それだけで、
振り回される時間は短くなります。
少し楽になる。
それで十分だと思っています。
この気持ちを持ってしまったあなたへ
このままでいいのか分からなくなる瞬間は、
誰にでもあります。
それは、
あなたがダメだからではありません。
今の立場で、
今の環境で、
ちゃんと感じているだけです。
無理に答えを出さなくても大丈夫です。
前向きにならなくてもいい。
また苦しくなったら、
ここに戻ってきてください。
同じ場所で、
同じ気持ちのまま、
待っています。

